数字は重要ですよ!

 毎年9月から,教室にサラ―リマンの方からの問い合わせが増えます。理由は簡単です,来年4月の新年度から中国に駐在になる,また中国関連業務に関わることになる人たちなのです。。
 しかし,趣味で長期間じっくり勉強する方と違い,私が一番大事と思っている発音の基礎練習が十分できない人がほとんどです。担当業務の引き続き,お客さん回りなど大変忙しい日々の中で時間を作って教室に通っている皆さんはやはり企業戦士ですねと私はいつも感心しています。
 彼らに支援することは私たちの使命であると決意しました。様々なことを考えた末,私は彼らに挨拶と数字の練習から始めましょうと提案します。
 挨拶することは初対面の人に大変重要な第一印象を与えることは誰でもわかります。数字の勉強はなぜこんなに重要なのでしょうか。それは私自身の経験から得た知恵です。
 日本に来る前に,私は何回か長い海外の旅をしたことがあります,それは電車で北京からハンガリーのブダペスト市までの旅でした。初めての国はモンゴルでした。北京から国際列車に乗り込む2日間の旅の末,11月のウランバートルに着きました。私にとって人生のまったく新しい1ページを開きました。
 1991年のモンゴルの経済状況は11月のモンゴル高原の寒さと同じ厳しいものでした。停電,水不足でお風呂に入れないことはまだ耐えますが,食事と言葉は大きな問題です。生まれてから中華料理しか食べたことがない胃袋はモンゴル式洋食と肉と乳製品中心的なモンゴル料理に到底慣れることができません。「野菜を食べたい。」と叫んだ途端,モンゴル人の友だちから「人間は羊じゃないのに,何で草を食べるのか」の一言を聴いてさらに心に深い傷をつけられました。
 言葉は全く通じません。私は多少英語を喋りますが,モンゴル人の皆さんに通じません。なぜなら,その時モンゴルの学校の外語教育はロシア語でした。ハンガリーに行くために,ソ連大使館でソ連通過ビザ―を取る必要がありました。まず,中国語とモンゴル語の通訳人1人を確保しました,更にモンゴル語とロシア語の通訳人1人を用意しました。ある曇りの日の午後,ウランバートル市中心にそびえ立つソ連大使館に行きました。その時は,まさか1ヶ月間余り後はソ連が解体するなんて想像もつきませんでした。ビザ申請するモンゴル人以外の外国人が来ると思っていなかったのが,通常の意味でのビザ申請窓口はありませんでした。一階の大きなホールの一角にある応接コーナで30代の女性職員が対応してくれました。話しが進み,パスポートを出してくださいと言われる時,私は英語で「This is my passport。」と言いました。意外に彼女に通じました。その後,話しは簡単になりました。私は直接英語でピザを申請する経緯を話しました。次の日の午後に取りにきてくださいと言われた時,本当に嬉しかったです。
 モンゴルで約3週間の生活中で,言葉の問題はずっと私の悩みの種でした。ある日,モンゴルの友だちからモンゴル語で数字の数え方を教えてくれました,それから,状況が少しずつ改善されました。全然わからなかったモンゴル人の話の中から,数字の部分を認識し,今の話は時間の話か,金銭の話か分かるようになりました。これだけで,かなり安心できました。やはり数字は重要です。外国語を学ぶ時,できれば早めに数字の表現を覚えましょう。通勤途中,車のナンパ―などの数字を外国語で読むことは一つの楽しみになると思います。
 現地従業員と打ち合わせ時,手元の資料を見ながら,数字を聴きとれるだけで,皆さんの話について行けます。通訳してもらっている間,考える時間も増えて 落ち着いて適切な対応ができます。
 話しは変わりますが,初対面の日本人会社員の方から,よく「私は中国語を喋れます。」といわれます。そして「ふぁーぴょ」といってくれました。最初,私はかなり戸惑いましたが,そのうちにわかりました。つまり「发票(領収書)」のことですね。確かに,中国語も分からないまま,中国に出張した場合はこの言葉は欠かせません。それなら,数字と一緒に「ふぁーぴょ」も覚えましょう。